結婚から10年近くが経過した現在では想像もつきませんが、結婚発表当時の2016年、一部の週刊誌やネットニュースでは「格差婚」という心ない見出しが躍った歴史があります。
当時、榮倉奈々さんはすでに数々の連続ドラマや映画で単独主演を務める押しも押されもせぬ国民的女優でした。一方の賀来賢人さんは、実力派として業界内の評価は高かったものの、世間一般の認知度としては「名バイプレイヤー」「賀来千香子の甥」という枠組みで見られることが多かったためです。
しかし、この偏見に満ちた世間の見立てを、賀来さんは自らの実力で完全に覆しました。結婚後に主演を務めた日本テレビ系ドラマ『今日から俺は!!』(2018年)が爆発的な大ヒットを記録し、一躍トップスターへと駆け上がったのです。賀来さん自身、結婚して家族を持ったことが役者としての覚悟を固める大きな転機になったと語っており、榮倉さんも家庭内で夫の仕事を精力的にサポートし続けました。
さらに2026年には大手事務所を退所して独立し、自ら企画・主演・共同エグゼクティブプロデューサーを務めたNetflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』(2026年世界配信)を国際的ヒットへと導くなど、クリエイターとしても覚醒しました。「格差」と騒ぎ立てた世間の評価は、ふたりが互いを信じ、互いの才能を認め合って手を取り合ったことで、完全に過去の遺物となったのです。
【プロの結論】心理的バウンダリーと対等なパートナーシップが示す教訓
家族社会学および対人心理学の観点からふたりの関係性を分析すると、現代の共働き夫婦が直面する課題を乗り越えるための極めて重要なヒントが見出せます。その核心にあるのが「健全な心理的バウンダリー(境界線)」の確立です。
夫婦関係が破綻する典型的なパターンのひとつに、一方がもう一方の自己実現を制限したり、依存や過度な干渉によって互いの境界線を侵食してしまう「共依存」があります。しかし、榮倉・賀来夫妻のアプローチは対極に位置します。家庭内での役割分担を柔軟に行いつつも、仕事の場では互いのプロフェッショナリズムに一切甘えることなく、自立した個として歩んでいます。
榮倉奈々さんは2026年に自らのアパレルブランド『newnow』を立ち上げ、新会社のCEOとして実業家の道を切り拓きました。同時期に賀来賢人さんも独立し、自らの映像制作プロダクションを立ち上げています。互いが自らの足で立ち、自らの世界を追求しているからこそ、家庭という共有空間に戻った際に対等なリスペクトと感謝が生まれるのです。
【本事例から学ぶ:夫婦関係の判断基準】
- 手本とすべき人:パートナーの挑戦を心から応援したい人、経済的・精神的に互いに自立した対等な関係を望む人、家庭内での役割分担を固定概念に囚われず柔軟にアップデートできるカップル。
- 慎重になるべき人:「結婚相手は家庭に専念すべき」という旧来の役割規範に固執する人、相手の行動を常に把握・束縛しないと不安になる人、パートナーの成功に対して無意識に嫉妬や劣等感を抱いてしまうタイプ。