検索エンジンやSNSの相談掲示板で必ず浮上するのが「ハイエースの丸目は車検に通らないのではないか」という不安の声です。現場の自動車整備工場や認証テスター場で徹底調査を行った結果、この噂には明確な根拠が存在することが判明しました。問題は主に「前照灯の配光基準」「ミリ波レーダーの照射角」「車両外寸の変化」の3点に集約されます。
第一の障壁となるのが、ハイエース丸目キット車検基準におけるヘッドライトの審査です。国土交通省の審査事務規程改定により、前照灯試験は原則として「ロービーム(すれ違い用前照灯)」での計測が完全義務化されました。安価な海外製汎用丸目ユニットや、粗悪なLEDバルブを組み込んだキットの場合、きれいなカットオフラインが出ず、エルボー点の測定不能や光量不足で不合格となるケースが相次ぎました。車検を確実に通過するためには、保安基準適合の証であるECE認証(いわゆる丸目プロジェクターヘッドライト適合基準)を取得した信頼性の高い光学ユニットを採用しているかが絶対条件となります。
第二の障壁が、先進運転支援システム「Toyota Safety Sense(TSS)」との干渉です。4型後期以降の車両ではフロントグリル内にミリ波レーダーが配置されていますが、丸目化に伴うグリル交換によってレーダーの位置がずれたり、カバーの材質が電波を遮断したりすると警告灯が点灯します。この状態ではディーラーでの点検はもちろん、車検の継続検査も受託されません。専用の移設ステーを用い、整備資格を持つプロの手で「エーミング(電子制御装置の校正作業)」を実施することが不可欠です。
そして第三の盲点が、ハイエース丸目キット構造変更手続きの要否です。フェイスキットの装着によってバンパーやグリルが前方に突出し、車検証に記載された「全長」からプラス3センチメートル以上長くなった場合、軽微な変更の範囲を超え、管轄の運輸支局で構造等変更検査を受けなければなりません。これを怠ったまま公道を走行すれば、道路運送車両法違反(不正改造)に問われるリスクがあります。信頼できる専門店が販売するキットであれば、これらの法規制をクリアする設計がなされていますが、個人売買やノーブランド品には十分な警戒が必要です。