走力改善に取り組む前に、まずは客観的な現在地を把握することが欠かせません。スポーツ庁が毎年実施している「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」などの公的データをもとに、小学生から高校生までの基準値を整理しました。新体力テストにおける得点基準と照らし合わせることで、現状の立ち位置が明確になります。
データを見渡すと、男子では中学生から高校生にかけて「7秒台」に到達する割合が急増し、全体の約半数近くを占めるようになります。一方で、一般社会や学校内で「足が速い」と周囲に認められる登竜門である「6秒台」を達成できる男子生徒の割合は、高校生男子全体の中でも約15〜20%程度にとどまります。女子の場合は中学生以降8秒台半ばがボリュームゾーンとなり、7秒台に入ると校内トップクラスの俊足と評価されます。
なお、陸上競技における公認の50メートル走日本記録としては、男子室内において朝原宣治氏が記録した「5秒75」(1999年)が燦然と輝いています。学校の土のグラウンドで行われる手動計測では「5秒台前半が出た」といった都市伝説がしばしば囁かれますが、手動計測特有のタイム誤差(0.2〜0.3秒程度速く出やすい傾向)やフライング気味のスタートが原因であるケースが大半です。