劇中で強烈なインパクトを残すカエルの正式名称は、スタジオジブリ公式のクレジットおよび絵コンテにおいて「青蛙(あおがえる)」と明記されています。緑色の肌に跳ね回る敏捷な体躯を持ち、羽織を引っ掛けた姿で神々の湯治場「油屋」で働いています。
油屋で働く男性従業員の多くはカエルの姿をした「蛙男(かえるおとこ)」たちですが、青蛙はその中でも小柄で、ひときわ特徴的な甲高いダミ声を持っています。彼らの階級構造を整理すると、経営トップの湯婆婆を筆頭に、支配人・番頭クラスである「父役(ちちやく)」、現場監督やマネージャー層に位置する「兄役(あにやく)」が存在し、青蛙を含む蛙男たちは現場の実務・清掃・給仕を担う一般平社員〜下っ端労働者に位置付けられています。
青蛙は人間である千尋が油屋に迷い込んできた際、「人臭い」と鋭く嗅ぎつけ、湯婆婆の元へ突き出そうとするなど、組織の掟に対して忠実でありながらも、千尋からハッカ飴をもらおうと画策するような現金な小市民ぶりを見せていました。この「どこにでもいる小ずるい労働者」というリアリティこそが、後の悲劇へと繋がる重要な伏線となっています。