一般の食品スーパーに並ぶ青果物は、生産者から出荷された後、地域の集出荷場、卸売市場、仲卸業者、スーパーのプロセスセンターや配送拠点を経由して店舗へ届けられます。農林水産省が公表している「食品流通段階別価格形成調査」などの構造データを読み解くと、一般的な生鮮野菜の最終小売価格のうち、およそ45%〜55%前後が流通経費や中間マージンで占められている実態が浮き彫りになります。運送費の高騰や人件費の上昇が続く中、多段構造の輸送網を通るだけでコストが雪だるま式に積み上がってしまうわけです。
対照的に、農産物直売所チラシやJAファーマーズチラシに掲載される商品の多くは、生産者が軽トラックで自ら店舗へ持ち込む「直売方式」をとっています。店舗側が商品を買い取るのではなく、売り場を提供して売上から約15%〜20%前後の出荷手数料を差し引く委託販売モデルが基本です。中間業者を一切挟まないため、流通マージンが極小化されます。これこそが、直売所が掲げる地場野菜安さの理由における最大の根幹です。
さらに見逃せないのが「価格決定権の所在」です。一般流通では市場相場や量販店本部のバイヤー主導で仕入れ値が決まりますが、産直市場では出荷する農家本人がバーコードシールを発行し、自ら売価を設定します。「多少安くても今日の夕方までに売り切りたい」「形が不揃いだからスーパー相場の半額で並べよう」といった生産者個人の柔軟な判断が、チラシを飾る驚異的な特売価格を成立させています。