ネット上の口コミやSNSを見ていると、久留米焼き鳥に対して「鶏肉の串が少なすぎて焼き鳥屋と呼べるのか」「モツ焼き屋と何が違うのか」といった声が散見されます。しかし、これは久留米の食文化における最大の誤解です。
現場取材で見えてきたのは、「素材を問わず、炭火と秘伝ダレで素材の力を極限まで引き出す」という久留米の調理哲学です。卓上に山盛りで提供される無料のキャベツにかけられた、出汁入りの酸味あるポン酢タレ。脂っこい豚バラや濃厚なダルムを一口頬張り、タレが染みたキャベツで口内をリセットする。この完璧な味覚の循環構造こそが、久留米焼き鳥の真骨頂です。
また、「ダルムは臭みが強いのではないか」という先入観も完全に打ち砕かれます。名店と呼ばれる店ほど、内臓の下処理に膨大な時間を費やしています。何度も茹でこぼし、余分な脂肪や臭みを丹念に取り除いた上で、強火の遠火で外側をパリッと焼き上げる。ネット上の「臭くて食べられない」というネガティブな感想の大半は、適切な下処理を行っていない質の低いチェーン店での体験によるものです。本物の久留米のダルムは、モツが苦手な人ほど「これまでの概念が覆った」と驚嘆するほどの軽やかさを誇ります。