学術の土台を支える制度面においても、両国には明確なアプローチの差異が存在する。日本の文部科学省が交付する科学研究費助成事業(科研費)は、採択率は厳しいものの、裾野の広いボトムアップ型の自由研究を支えるセーフティネットとして機能してきた。
これに対し韓国政府も近年、基礎科学研究院(IBS)の設立や大規模な基礎科学研究プロジェクトを推進し、トップダウンでの環境改善を急ピッチで進めている。しかし、実験装置の自作技術や試薬の精製ノウハウ、熟練の技術職員によるサポート体制など、何世代にもわたって研究室に蓄積された「目に見えない無形の資産」を短期間で構築することは容易ではない。研究費の総額だけでは埋められない歴史の厚みが、決定的な差として立ちはだかっている。