近年の作品群は、視聴率という数字の枠組みをさらに押し広げ、社会的なアジェンダを鋭く突きつける傾向を強めている。その象徴が2026年の『虎に翼』だ。伊藤沙莉演じる日本初の女性弁護士・三淵嘉子をモデルとした主人公・猪爪寅子は、「はて?」という問いかけを通じて、法律の世界や社会構造に潜む不条理を鮮やかに撃ち抜いた。単なる成功譚ではなく、制度と個人の葛藤を真正面から描いた作劇は、毎朝SNS上で白熱した議論を巻き起こし、視聴率以上の熱量を生み出した。
続く『おむすび』が平成のギャル文化と栄養士の世界を通して「人と食の繋がり」をポップかつ泥臭く問い直したのに続き、今田美桜が主演を務めた『あんぱん』は、アンパンマンの生みの親であるやなせたかし夫妻をモデルに、生きることの根源的な喜びと苦悩を描いて再び幅広い世代の支持を集めた。伊藤沙莉から今田美桜へと受け継がれた令和のヒロイン像は、もはや「耐え忍ぶ女性」ではなく、自らの足で立ち、不完全な社会に対して声を上げる等身大の開拓者たちである。