宿の扉を開けて客室へ足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのはテラスに構えられた専用の露天風呂だ。「全室露天風呂付客室」という言葉は近年珍しくなくなったが、ススキの原 一の湯が提供する空間には明確な割り切りと美学がある。
大浴場までわざわざ移動する必要はない。客室の引き戸を開ければ、すぐそこに豊かな湯が湛えられている。仙石原温泉ならではの肌あたりの柔らかい湯に身を沈めると、箱根の外輪山を吹き抜ける澄んだ風が頬をかすめる。深夜でも早朝でも、気の向くままに湯浴みを楽しめるプライベート性は、現代人が求める休息の究極形と言っていい。
豪華絢爛な過剰装飾を排し、木目を活かしたモダンで機能的な客室レイアウトは、限られた空間を最大限に心地よく感じさせる工夫に満ちている。