あの伝説の「芸者コント」は、実はほとんどがアドリブだったというから驚きだ。大まかな設定だけが決まっており、あとは出たとこ勝負。柄本が突拍子もない動きをすれば、志村がそれを倍にして返す。まるで一流のジャズセッションのようなスリリングな空気が、お茶の間を釘付けにした。
「志村さんはね、絶対に引かないんですよ」と柄本は語る。相手がどう来ようと、必ず拾って、さらに面白くして投げ返す。その強靭な受けの芝居があったからこそ、柄本も安心して壊れることができた。互いの信頼がなければ、あの「間」は生まれない。一瞬でも疑心暗鬼になれば、コントのテンポは崩壊してしまうからだ。