彼女のクリエイティビティを紐解く上で欠かせないのが、血統が生み出した圧倒的な美的環境だ。文化勲章受章者である日本画家・福王寺法林を祖父に持ち、父の福王寺一彦もまた日本画壇を代表する巨匠という芸術家一家に育った。美術品や岩絵の具が身近にある日常で培われた優れた色彩感覚は、ジュエリーの微妙なニュアンスや空間ディレクションにまで色濃く反映されている。
伝統的な日本美術が持つ静謐な美しさと、トレンド感あふれる現代ファッションの融合。一見対極にある要素をシームレスに調和させるセンスは、彼女ならではの唯一無二の強みだ。単なる「トレンド」に終わらない、本物の品格と奥行きを感じさせるデザイン思想には、脈々と受け継がれてきた芸術家のDNAが脈打っている。