かつて大阪市北区芝田の店舗前にできた行列は、もはや梅田の日常風景の一部となっていた。開店前から数十人が並び、ピーク時には2時間以上の待ち時間が発生することも珍しくなかった。Google マップの口コミには連日驚嘆の声が寄せられ、食べログのパン百名店でも常に上位のスコアを維持。訪れる者を虜にした最大の理由は、それまでの日本のベーカリーの常識を覆す大胆な商品構成にあった。
その象徴と言えるのが、伝説の「タイ風焼きそばパン」だ。甘酸っぱくスパイシーなパッタイ風の自家製焼きそばを、香ばしく歯切れの良いコッペパンに限界まで挟み込む。一口かじれば、ハーブとスパイスの香りが弾け、小麦の甘みと完璧に調和する。パンという枠組みを超え、まるで一皿の完成されたアジアン料理を食べているかのような錯覚に陥る逸品だった。
「ROUTE271のパンは、惣菜パンではなく、本格的なフランス料理やエスニック料理そのものだった」と多くの常連客が口を揃える。ハード系からヴィエノワズリー、独創的な調理パンまで、どの棚を見ても妥協のないクラフトマンシップが息づいていた。