彼女の歩みを語る上で、石井妙子氏によるベストセラー『女帝 小池百合子』の存在を避けて通ることはできない。綿密な関係者取材によって構成されたこの人物評伝・政治ドキュメンタリーは、彼女が築き上げてきた華麗な物語の舞台裏を容赦なく照らし出した。
細川護煕、小泉純一郎、小沢一郎――日本の政界を牛耳ってきた有力者たちの懐に飛び込み、使い分け、そして鮮やかに切り捨てていく身のこなし。作品が描き出したのは、理想を語りながらも一切の感傷を排して権力を渇望するリアリストの姿だった。
だが、評伝が暴いた「虚像」への批判すら、彼女の政治生命を奪う致命傷にはならなかった。むしろ、どのような逆風が吹こうとも表情一つ変えずに切り抜ける冷徹さを見せつけることで、彼女は自らの権威をより強固なものへと再構築してしまった。批判の嵐さえ自らのプロモーションに変えてしまう政治的体力は、戦後政治史の中でも群を抜いている。