現代のスピード旅行とは対極にあるのが、鹿児島新港を夕方18時に出発する長距離フェリーの旅だ。奄美大島、徳之島、沖永良部島を順番に経由しながら南下し、与論島へ到着するのは翌日の午後13時40分過ぎ。丸1日近くを船上で過ごすことになる。
客室の雑魚寝スペースで本を読み耽り、売店で買ったカップ麺やすすりながら夕日と朝日を洋上で迎える。島民の生活物資を運ぶコンテナの積み下ろし風景を眺めていると、自分が奄美群島の生活動脈の中に溶け込んでいくような錯覚を覚える。決して万人向けではないが、移動そのものを旅の主役に据えたいなら、一度は試す価値のあるルートだ。