昭和、平成、令和、そして2026年へ。街の景色は目まぐるしく変わり、かつて軒を連ねていた個人商店は次々と姿を消した。だが、古びた引き戸を開ければ、今日も変わらぬ胡麻油の香りと鋭い眼差しの主人がそこに立っている。
老舗を守るとは、過去の栄光にすがりつくことではない。昨日よりも旨い一杯を揚げるために、毎朝鍋を磨き、火の前に立ち続けるという果てしない反復運動だ。天ぷらという極めてシンプルな料理に命を吹き込み続けるその背中は、効率化ばかりを急ぐ現代社会において、私たちが手放してはならなかった大切な何かを無言で問いかけてくる。腹を満たし、店を出て吸い込む外の冷たい空気。その時、口いっぱいに残る香ばしい余韻こそが、生きている実感を鮮やかに呼び覚ましてくれる。 (出典: 天 錦(Yahoo!ニュース))
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