「体に良いはずのルイボスティーが腎臓を壊すのではないか」という懸念が広がった発端を辿ると、慢性腎臓病(CKD)患者や人工透析を受けている患者に向けられた医学的な食事療法の情報が、一般層へと文脈を失って波及した実態が浮かび上がります。
腎臓は血液中の老廃物をろ過し、電解質バランスを保つ生命維持の中枢です。腎機能が著しく低下すると、過剰なカリウムを尿中に排出できなくなり、血液中にカリウムが溜まる「高カリウム血症」を引き起こします。これが重篤化すると不整脈や心停止を招くため、医療現場ではカリウムを含む食品や飲料の摂取を厳密に制限する指導が行われます。
この「カリウム摂取に対する警戒」が、ネット上の断片的な要約記事やSNSの口コミを介して「ミネラルが豊富なルイボスティー=カリウムが多い=腎臓に負担をかける危険なお茶」という短絡的な図式に変換されてしまいました。さらに、健康食品に対して白黒思考を抱きやすい消費者の心理的傾向も相まって、「飲むと腎臓病になる」という事実無根の風評被害へと発展したのが真相です。