実際に肩に違和感や痛みが出た場合、どのような手順で回復を図るべきか。現場指導で実績のあるベンチプレス肩の痛み治し方を3段階のフェーズに分けて解説します。
初期の急性期(動作時だけでなく安静時や夜間にもズキズキ痛む状態)では、バーベルを握る行為を完全に遮断します。炎症が強い場合はアイシングで熱感を取り除き、消炎鎮痛成分を含む外用薬などで組織の興奮を鎮めます。この時期に無理なストレッチを行うと傷口を広げるため、絶対安静を保ちます。
痛みが引き始めた回復期には、肩甲骨の可動域確保とローテーターカフのストレッチ・低強度アクティベーションへ移行します。インピンジメントを防ぐ主役である「棘下筋(きょくかきん)」「小円筋」「肩甲下筋」を目覚めさせるため、チューブを用いたインターナルローテーション(内旋)およびエクスターナルローテーション(外旋)を軽い負荷で丁寧に反復します。胸椎(背中の上部)が硬いとブリッジが組めず肩甲骨が外へ逃げるため、フォームローラーで胸椎の伸展可動域を広げるコンディショニングも極めて有効です。
現場で推奨される痛くないベンチプレスのやり方への復帰手順は以下の通りです。
1. ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せてポケットにねじ込むように下げる(下制・内転のロック)。
2. バーベルを握る際、親指の付け根(手根骨)にバーを乗せ、手首の角度を保つ。
3. 息を吸い込んで腹圧を高め、ラックアップ後も肩甲骨のロックを絶対に解かない。
4. 脇を45〜60度に保ち、バーをみぞおちに向けて弧を描くようにゆっくり降ろす。
5. 押し上げる際も「背中をベンチに押し付ける反力」を使い、肩を前へ突き出さずに大胸筋の収縮でフィニッシュする。
バーベルによる直線的な軌道で痛みが再発する場合は、関節の自由度が高い肩に負担のない代替種目を活用してください。床に寝て行う「フロアプレス」は、肘が床に着くため肩関節の過伸展を強制的にブロックできます。手のひらを向かい合わせる「ニュートラルグリップ・ダンベルベンチプレス」を取り入れれば、肩関節を軽度外旋位に保てるため、腱板のインピンジメントを回避しながら胸筋へ強烈な負荷を乗せることが可能です。