自己免疫疾患の疫学データを分析する上で、避けて通れないのが際立った性差です。疾患によって差はあるものの、膠原病患者全体の男女比はおよそ1対9と、圧倒的に女性に偏っています。この背景には、自己免疫疾患になりやすい人の特徴として女性ホルモンと性染色の構造的要因が存在します。
膠原病が女性に多い理由の主軸となるのが、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン」の二面性です。エストロゲンは本来、妊娠や出産を支えるために獲得免疫(抗体産生など)を刺激・活性化させる働きを持っています。しかし、この免疫促進作用が過剰に働くと、自己抗体の暴走を後押ししてしまうリスクへと反転します。初経、妊娠、出産、そして更年期といったホルモン動態が劇的に乱高下するライフステージにおいて、疾患が新規発症または劇的に増悪しやすいのはこのためです。
加えて、免疫関連遺伝子の多くが存在する「X染色体」の存在も見逃せません。女性はXX、男性はXYの染色体を持ちますが、女性の細胞内で行われる片方のX染色体を不活化させる処理が不完全である場合、免疫応答遺伝子が過剰に発現しやすくなることが判明しています。以下のデータは、主要な自己免疫疾患における発症比率と好発年齢をまとめた比較です。