同時代に活躍した若尾文子や岸惠子、司葉子といった大女優たちと比べても、小山明子の佇まいには独特のシャープさがあった。クラシックな日本美を体現しながらも、どこかヨーロッパの映画女優を思わせるエスプリとアンニュイな雰囲気を併せ持っていたことが、彼女のスタイルを特別なものにしていた。
単に可憐であるだけでなく、時には冷徹なまでのクールさを漂わせ、時には包み込むような温かさを見せる。その多面的な魅力こそが、大島渚をはじめとする数々の名匠たちを魅了し続けた理由だろう。彼女が画面に現れるだけで、空間そのものが洗練された雰囲気に包まれるという稀有な天性に恵まれていた。