今年、ケンブリッジ大学のデジタル・ヒューマニティーズ研究チームは、16世紀から19世紀にかけて出版された数千冊のパンフレットや風刺画を最新のAIでパターン解析した。その結果、童謡として定着する以前の「ハンプティ・ダンプティ」という言葉が、17世紀のロンドン裏社会で「丸々と太った滑稽な人物」や「泥酔して立ち上がれない者」を指す隠語として常用されていたことが証明された。
つまり、特定の歴史的事件だけを指すのではなく、人間の慢心や自己肥大化が招く不条理な失脚全般を嘲笑うスラングとして、大衆の日常会話の中に根付いていたということだ。時代を超えて言い伝えられてきた背景には、特権階級の自滅を面白がる庶民のたくましい反骨精神が存在していた。