現場で古くから伝承され、現代の手技療法でも多用されているのが「麦穂帯(ばくすいたい)」や「亀甲帯(きっこうたい)」と呼ばれる折り重なりを利用した巻き方だ。接骨院やスポーツトレーナーの現場で活躍する柔道整復師たちは、この構造力学を巧みに活用している。
麦穂帯は、布が交差する結節部がまるで麦の穂のように美しく整列する形状を特徴とする。交差ポイントを膝の側副靭帯付近や側面に配置することで、関節が左右へぐらつく力を強力にブロックできる。一方の亀甲帯は、膝の前面中央から上下へと交互に広げていく手法であり、関節の屈伸運動に対する追従性が極めて高い。
これらの巻き方が優れている理由は、圧迫圧の均一性にある。一箇所だけに強い締め付けが集中する「環状帯(単純なぐるぐる巻き)」とは異なり、圧力が広範囲に分散される。これにより、長時間の移動でも包帯が下方に滑り落ちる現象を劇的に減らすことができるのだ。