死の自己決定は、当事者ひとりの問題では完結しない。遺される家族の精神的負担を鮮烈に描いたのが、フランソワ・オゾン監督の映画「すべてうまくいきますように」である。脳卒中で身体の自由を失った頑固な父親から「終わらせてほしい」と頼まれた娘が、葛藤と法的な恐怖に引き裂かれながらスイス行きを手配する姿は、世界各国の観客に重い余韻を残した。
また、Netflixをはじめとするストリーミングサービスでも、終末期の自己決定をテーマにしたドキュメンタリーやドラマが相次いで配信されている。親を見送る子の罪悪感、引き止めたい情愛と本人の苦痛を終わらせてあげたいという願いの衝突。フィクションとノンフィクションの双方が、単なる「権利の主張」の裏側にある濃密な人間ドラマを浮き彫りにしている。