日本の陸上界を牽引してきたトップランナーたちの言葉にも、子どもが速く走るための本質が凝縮されている。世界陸上で2度の銅メダルを獲得した為末大氏は、走る行為を「地面からの反発をもらう技術」と定義し、力みを手放す重要性を一貫して説いている。
日本人初の9秒台をマークした桐生祥秀選手も、ピッチ(足の回転数)とストライド(歩幅)のバランスを極限まで追求してきた。公益財団法人日本陸上競技連盟が後援する全国小学生陸上競技交流大会などの現場でも、現在はこの「脱力と反発」をベースにした指導理論が標準化されつつある。
トップ選手に共通する教えは極めて明快だ。「速く走ろうとして力いっぱい地面を蹴るな」。力めば力むほど筋肉は固まり、足の回転はストップする。リラックスして地面の反動を受け止める感覚こそが、才能の壁を越えてタイムを押し上げる原動力となる。