外科的な手技において最も警戒すべき合併症が、鼻の外見が変わってしまう問題と鼻中隔の欠損です。鼻中隔軟骨は鼻筋の高さを支える大黒柱の役割を果たしているため、切除範囲のコントロールを誤ると外見に重大な影響を及ぼします。
特に危険視されるのが、鼻背(鼻筋)が中央付近でペシャンコにへこんでしまう鞍鼻(あんび)の変形リスクです。鼻筋と鼻先を支える「L型ストラット」と呼ばれる軟骨フレームを最低でも10mm〜15mm以上安全マージンとして残さなければなりませんが、過剰な骨・軟骨の切除や術後の感染・血腫によって支持構造が崩壊すると、術後の経過とともに鼻の形が低く潰れてしまいます。
もう一つの代表的な後遺症が、左右の鼻腔を隔てる壁に穴が開いてしまう鼻中隔穿孔です。軟骨を剥離する際に左右両側の粘膜を傷つけてしまったり、術後の血流不全で組織が壊死したりすることで穴が開きます。鼻中隔穿孔を発症すると、以下のような特徴的な症状が現れます。
- 呼吸をするたびに鼻の奥から「ヒューヒュー」と風切り音が鳴る
- 穴の周囲の粘膜が異常乾燥し、頑固な痂皮(かさぶた)が大量に付着する
- かさぶたが剥がれる際に血管を傷つけ、頻繁な鼻出血を繰り返す
- 鼻腔内の細菌繁殖により、特有の悪臭を自覚する
穿孔が一度完成してしまうと自然閉鎖することは極めて稀であり、粘膜弁を移動させて穴を塞ぐ高難度な閉鎖手術が必要となります。