かつて「成人病」と呼ばれた脳卒中、心臓病、がんなどの疾患群は、1990年代半ばに「生活習慣病」へと概念が改められた。この用語のシフトは単なる言葉の言い換えではない。加齢に伴って避けることのできない「運命の病」という受動的な観念から、個人の食生活や運動、休養といった日々の営みによって予防し得る「自律的な健康管理」へと、医学界のパラダイムが根底から転換したことを意味していた。
こうした歴史的背景を受け、各地の専門医療機関もまた看板を掛け替えてきた。しかし、名称が変われど、地域住民の重篤な疾患を食い止める防波堤としての役割が変わることはなかった。むしろ近年では、遺伝子解析データやウェアラブル端末から得られるバイタルデータと結びつくことで、「個人のリスクに応じたピンポイントの予防医療」を提供する拠点へと進化を果たしている。