一見すると不安定に見える丸いたらい舟ですが、水に浮かべると驚くほどの安定感を発揮します。たらい舟がなぜ沈まないのか、その最大の理由は船底の広さと計算し尽くされた低重心構造にあります。
一般的なカヌーやボートは細長い形状ゆえに左右の傾きに弱い側面がありますが、たらい舟は底面が平らな楕円形(または円形)で作られています。水に接する面積が広いため浮力が均等に働き、大人が数人乗り込んでも喫水線(水面と船体の境目)が過度に下がりません。また、乗船者が底面に座る、あるいは低い姿勢をとることで重心が水面よりも低い位置に保たれ、少々の揺れではバランスを崩さない復元力が生まれます。
気になるひっくり返る危険性ですが、通常の乗船体験で転覆することはまずありません。使用されている木材は水を含むと膨張して密閉性が高まるスギ材であり、外周を強靭な竹タガで固めています。ベテランの船頭が巧みにバランスを取りながら操船するため、穏やかな湾内であれば揺れも穏やかで、小さな子どもから高齢者まで安心して海上散歩を楽しめます。