事件が起きたのは、東京オリンピック開幕を目前に控えた1964年(昭和39年)8月24日未明のことでした。東京都世田谷区にある高島忠夫さん・寿美花代さん夫妻の自宅で、夫妻の待望の第一子として誕生したばかりの長男・道夫(みちお)ちゃん(当時生後5か月)が忽然と姿を消しました。
異変に気づいた家族と警察が邸内を捜索したところ、自宅の風呂場に張られた水の中に沈められている道夫ちゃんが発見されます。直ちに病院へ搬送されたものの、懸命の蘇生措置も虚しく溺死が確認されました。国民的スター夫妻の自宅で起きた乳児殺害事件は、瞬く間に全国へ速報され、世間に計り知れない衝撃を与えました。
警察の捜査により、事件発生からわずか数時間後に犯人として浮上・逮捕されたのは、高島家に住み込みで雇われていた当時17歳の家政婦の少女でした。外部からの侵入形跡がなく、家屋の構造を熟知した内部の者による凶行であることが決定打となりました。