浅草の興行街に立つ浅草フランス座演芸場東洋館。エレベーターを降りると、出番を待つ芸人たちの笑い声と出囃子の三味線の音が混ざり合う。その一角、細長い楽屋の鏡前におぼんとこぼんの姿があった。
ベタベタと馴れ合うことはない。必要な打ち合わせを手短に交わし、互いに衣装を整える。言葉数は決して多くないが、そこには長年の確執を越えたプロ同士特有の澄んだ空気が漂う。出番のブザーが鳴り、二人が袖からステージへと足を踏み出した瞬間、客席から割れんばかりの拍手が湧き起こる。
テンポの良い掛け合い、阿吽の呼吸で繰り出されるボケとツッコミ。かつて関係が冷え切っていた時期には見られなかった、互いの表情を盗み見てクスリと笑うようなアドリブすら飛び出す。客席を埋めた若い世代から往年の常連客までが、理屈抜きに腹を抱えて笑っている。