糸井が生み出した言葉は、単に作品の内容を説明するものではなかった。作品が持つ「世界観の空気」そのものを一行の文章として定着させる作業だったと言える。言葉を盛り盛りに飾るのではなく、限界まで削ぎ落とし、受け手の心の中にストーリーを完成させる余白を残す。これこそが糸井流コピーライティングの極意だ。
宮崎駿の妥協なき映像表現と、鈴木敏夫の緻密なプロデュース戦略。二人の巨頭がぶつかり合うエネルギーを受け止め、それを誰もが口ずさめる親しみやすいフレーズへと昇華させた糸井の仕事は、広告・コピーライティング業界においても伝説として語り継がれている。アニメ作品のポスターが芸術的な言葉の作品として機能し始めた瞬間でもあった。