今日マチ子の真骨頂は、時代の変化に対する即応性にもある。
コロナ禍の最中、彼女がSNS上で連載を開始した『Distance わたしたちの距離』は、ディスタンスを強いられた社会の空気感をありのままに捉えた作品として高い評価を得た。マスク越しの表情、画面の向こう側の友人、誰もいない通学路。
劇的な事件が起きるわけではない。しかし、誰もが直面した「日常の途切れ」を淡々と、しかし温かな眼差しで記録したこの作風は、孤立感を深めていた多くの人々の救いとなった。数年が経過した2026年の現在振り返ってみても、あの異質な時代を生き抜いた私たちの呼吸が、そのままページの中に閉じ込められていることに気づかされる。