2000年代初頭、日本の音楽業界は大きな変革の渦中にあった。 CD売上が頂点を極め、多様なサウンドが入り乱れるなか、突出した存在感を放っていたのが音楽プロデュースの巨匠、小林武史である。彼が率いる株式会社ウーロンシャは、当時のトップアーティストたちを擁し、シーンのトレンドを事実上牽引していた。
そこへ現れたのが、唯一無二の言葉選びとオリエンタルな情念を抱いたシンガー、一青窈だった。彼女の持つ独自の詩世界と、小林が構築する洗練されたポピュラーミュージックの構造。二人の邂逅は、平成のJ-POPシーンに鮮烈な地殻変動を引き起こすことになる。卓越したアレンジメントと情緒あふれるボーカルの化学反応は、瞬く間にリスナーの耳を捉えて離さなかった。