ポニョの父親であり、かつて人間でありながら海で暮らす魔法使いとなったフジモト。彼を演じたのはタレントの所ジョージだ。この配役は当時、大きな驚きをもって受け止められた。
フジモトは、人間社会の汚染を嫌悪し、娘を心配するあまり束縛してしまうという、一歩間違えれば嫌われ役になりかねないキャラクターである。しかし、所ジョージの持つ独特の脱力感と哀愁を帯びた声が加わることで、どこか憎めない「不器用な父親」としての人間味が生まれた。
宮崎監督は所ジョージに対して過度な演技指導をせず、彼が持つナチュラルな口調を活かしたとされる。結果として、偏屈さと可笑しみが同居する唯一無二のキャラクター造形が完成した。