吸血鬼伝説やホラー映画の影響から「巨大なコウモリが家畜や人を襲って血を吸うのではないか」と恐れる声も少なくありませんが、それは完全な誤解です。フィリピンオオコウモリは完全な草食性であり、果実を主食とする「フルーツバット(果食性コウモリ)」です。
彼らが好んで食べるのは、熱帯雨林に自生するイチジク類(フィカス)の果実、ランブータン、木の若葉、花の蜜や花粉などです。鋭い爪や牙は獲物を捕食するためではなく、木の枝にぶら下がったり、硬い果実の皮を剥いて果汁を絞り出したりするために使われます。
性格は極めて臆病で温厚であり、人間から刺激を与えない限り自発的に攻撃してくることはありません。むしろ、食べた果実の種子を広範囲に糞として排泄し、森林再生に不可欠な役割を果たすことから、生態系においては「森の農夫」と呼ばれる重要な益獣として位置づけられています。