インターネット上の質問掲示板やSNSで定期的に見受けられるのが、「ブギーって、ホラー映画に出てくるブギーマンと関係があるの?」という誤解です。「ブギーマンとの違い」について、語源的・文化的な境界線を明確にしておく必要があります。
結論から申し上げると、両者のルーツは歴史的にも語源的にも一切の交点がありません。
映画『ハロウィン』シリーズの殺人鬼や、欧米の民話で「悪い子を袋に詰めて連れ去る怪物」として知られる「ブギーマン(Boogeyman、またはBogeyman)」は、中世英語やケルト神話の妖怪「bogge」「bugge(幽霊、恐怖を引き起こすもの)」が語源です。これは「バグ(bug=虫、欠陥)」や「ボガート(boggart=いたずら好きの妖精)」と同系統の、ヨーロッパ古代〜中世の民間伝承に由来する言葉です。
一方、私たちが考察しているスラングの「boogie」は、前述の通り西アフリカ言語と20世紀アメリカの黒人音楽文化から生まれた言葉です。発音やカタカナ表記が酷似しているために混同されやすいものの、前者は「中世ヨーロッパ起源の恐怖の象徴」、後者は「アフリカン・ディアスポラから発展した音楽と躍動のスラング」という、全く相容れない文化的出自を持っています。