圧倒的な歌唱力とルックスで一世を風靡した時代、所属事務所である長良プロダクションの手厚いプロデュースは、彼のキャリアを確固たるものにした。しかし、伝統と格式を重んじる演歌の世界においては、個性の突出や性別の境界を揺るがす表現スタイルは厳しく制限される傾向にあった。
与えられた完璧なパブリックイメージは、彼を成功へと導いた光であると同時に、素顔の自分を閉じ込める檻でもあった。ファンを裏切りたくないというプロ意識と、本来の自分を表現したいという表現者としての情熱。その狭間で揺れ動き続けた長い年月を経て、ついに彼は自らの意志で新たな未来の扉を開けることとなった。