2026年、科学の最前線で大きな地殻変動が起きている。つくばのKEK(高エネルギー加速器研究機構)では、ルミノシティ(粒子衝突の頻度)が史上最高レベルに達し、連日膨大な量の観測データが生成されている。研究者たちが注視しているのは、宇宙の誕生時に物質と同等に存在していたはずの「反物質」が、なぜ現在の宇宙から消え去ってしまったのかという根本的な問いだ。
研究棟のモニターに映し出される一瞬の衝突反応。そこに刻まれるわずかなゆらぎが、理論物理学者たちの予想を超えた反応を示し始めている。世界30以上の国と地域から集まった数百人の研究者が夜を徹して解析を続けており、まさに「宇宙の始まりの1秒間」の再現に迫る独占データが蓄積されているのだ。