研究者の間では、この漂着現象を単なる一時的な風配の影響ではなく、広域的な海洋環境の構造変化として捉える見方が強まっている。太平洋の黒潮本流の流路が変わり、沿岸部へと温暖な水塊が流れ込みやすくなった背景には、長引く地球規模の海水温上昇が大きく関係している。
本来であれば水温の下がる日本の冬から春にかけての時期にも、沿岸域の水温が下がりにくくなったことで、熱帯性の生物が死滅せず、そのまま沿岸部に留まりやすい環境が形成されている。ウミウシ研究の専門家は、「かつては南紀や沖縄などの限られた地域でしか見られなかった熱帯性海洋生物の北上傾向は、今後さらに定着化・常態化していく可能性がある」と指摘する。