「じゃあ、一番てっぺんの山頂は何県なのか?」という疑問が湧くだろう。ここに、知る人ぞ知る最大のミステリーが隠されている。
驚くべきことに、富士山の8合目より上(標高約3,360メートル以上)には、県境が一切設定されていない。つまり、静岡県でも山梨県でもない「境界未定地」なのだ。
行政上の境目がない理由は、江戸時代から続く権利関係にある。1606年、徳川家康が富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)に山頂部を寄進した。明治時代の一時期、国に召し上げられたものの、長年の法廷闘争を経て2004年に最高裁判所の判決に基づき、8合目以上の土地は正式に浅間大社の「私有地」として返還された。
登記上は浅間大社の境内地。だが、そこが静岡と山梨のどちらに属するかの決着はついていない。国勢調査の公式マップを見ても、富士山頂のあたりだけポッカリと境界線が消えている。