「自分は一度もインフルエンザにかかったことがない」と胸を張る人のうち、かなりの割合が実は「無症状感染者」であるという衝撃的なデータが存在する。
PCR検査や最新の超感度抗原定量検査を用いると、症状が全く出ていないにもかかわらず、体内でウイルスが一時的に微量増殖しているケースが多数確認される。彼らの体内では、免疫系が発熱や倦怠感といった全身性の炎症反応を引き起こす前に、局所的な自然免疫(NK細胞やインターフェロン応答)によってウイルスを素早く鎮圧しているのだ。
症状とは、ウイルスそのものではなく、免疫系がウイルスと戦う過程で生じる炎症反応に他ならない。戦いが短時間かつ静かに終われば、本人は「感染していない」と思い込んだまま日常を過ごすことになる。