童磨というキャラクターの難しさは、「他者への共感や感情が一切存在しないこと」にあります。怒りや憎しみに突き動かされる他の鬼たちとは異なり、童磨は常に親しみやすい笑顔を浮かべ、陽気に語りかけてきます。しかし、その内面は完全な虚無です。
宮野真守さんは、この極めて特異なパーソナリティを以下の要素で見事に具現化しています。
第一に、「甘く人懐っこいトーンの中に潜む冷酷さ」の表現力です。一見すると優しくフレンドリーな声色でありながら、言葉の端々に血の通わない冷たさを忍ばせる発声テクニックは圧巻です。相手を傷つけている自覚すら持たない「悪意なき異常性」を、声の抑揚とテンポだけで巧みに浮き彫りにしています。
第二に、「感情の偽装とスイッチングの落差」です。悲しむふりをしたり、仲間に親愛の情を示す素振りを見せたりしながらも、次の瞬間には無機質な本性を覗かせる——この絶妙な揺らぎが、視聴者に拭い去れない居心地の悪さと底知れぬ恐怖を与えています。