1970年代中盤まで、家庭用ビデオゲーム機といえば『ポン(Pong)』や『オデッセイ』のように、あらかじめ本体の電子回路に組み込まれた数種類のゲームを遊ぶだけの仕組みが主流でした。本体を買えばそれでおしまいであり、別のゲームを遊びたければ新しいハードを買い直すしかなかった時代です。
この常識を打ち破ったのが、米半導体大手フェアチャイルド・セミコンダクター社でエンジニア部門のリーダーを務めていたジェリー・ローソンでした。彼が率いるチームは1976年、マイクロプロセッサ(Fairchild F8)を搭載し、ROMカートリッジによってソフトウェアを自由に差し替えられる世界初のコンソール「フェアチャイルド チャンネルF」を世に送り出しました。
安全に抜き差しできるプラスチック製カートリッジの機構設計、静電気による半導体破壊を防ぐ保護機能など、彼が考案した技術はまさにビデオゲームカートリッジの開発者としての偉業そのもの。本体を普及させ、魅力的なソフトを継続的に販売していくという、現代まで続くゲームビジネスの基本構造は彼の手によって確立されたのです。