作品内で唯一、流暢な言葉を話して状況を説明する「ハチワレ」は、物語の牽引役であり、読者の感情移入を助ける架け橋だ。洞窟に住み、質素な生活を送りながらも、手に入れたカメラや自炊料理を心から楽しむポジティブさは、ダークな世界観における一筋の光と言える。
だが、ハチワレの魅力は「完璧な聖人ではない」点にある。自分だけが検定に合格してしまった時の気まずさや、大切なグッズを壊してしまった際の動揺など、友情とプライド、喜びと罪悪感が交錯する複雑な葛藤が見え隠れする。彼が見せる人間臭い弱さがあるからこそ、仲間たちとの絆は絵空事ではないリアルな質感を持って迫ってくる。