今でこそ鉄郎役は野沢雅子以外に考えられないが、当時のキャスティング現場には知られざるドラマがあった。当初、よりクールでスタイリッシュな少年声を推す声もあったという。しかし、野沢がマイクの前で一発目の叫びを上げた瞬間、制作陣の意見は一瞬で一致した。「この生臭いまでの生命力こそが、鉄郎だ」と。
さらに、映画史に残る傑作『劇場版 銀河鉄道999』の収録では、過酷なスケジュールの中でキャスト陣が極限状態に追い込まれていたという伝説が残る。クライマックスシーンで鉄郎が叫ぶ別れの場面。野沢は酸欠で倒れそうになりながらもマイクにしがみつき、魂を削るように声を絞り出した。劇場版のあの歴史的名シーンには、文字通り声優たちの命が吹き込まれていたのだ。