大鳥居からまっすぐ伸びる参道を進むと、杉の大木が織りなす荘厳な空間が広がる。現在の参拝ルートでは、表参道から随神門を経て本殿へと向かうラインが最も格式高いとされる。朝の静寂の中で聴こえる風の音は、まるで古代の息吹のようだ。
この神社を語る上で欠かせないのが、主祭神である吉備津彦命と、この地を支配していたとされる鬼神・温羅の激闘の記録だ。伝説によれば、吉備津彦命は吉備の国を荒らす温羅を討つため、矢を放ち、ついにはその首を跳ねたという。だが、討たれた温羅の首は釜の下に埋められた後も唸り声を上げ続け、人々に吉凶を告げるようになった。愛憎が表裏一体となった古代の記憶が、境内のお釜殿や石碑に今も静かに息づいている。