音楽シーンで爆発した反体制の熱量は、瞬く間にモードの世界へと飛び火した。その歴史的転換点となったのが、1992年、デザイナーのマーク・ジェイコブスが手がけたペリー・エリスのコレクションだ。彼は街の若者たちが着ていた粗野なストリートウェアを贅沢な素材で再解釈し、ハイブランドのランウェイに送り出した。
この試みは当時のファッション業界に強いショックを与え、大賛否両論の渦を巻き起こした。結果として彼はブランドを追われることになったものの、この事件こそが90年代ファッションのあり方を根本から覆し、ストリートカルチャーと高級服の垣根を打ち壊す歴史的足がかりとなった。ハイブランドがストリートの美学を取り入れる現代の潮流は、まさにここから始まったのだ。