さくら家における最大の関心事の一つが、まる子と姉のさきこが同室で使う子供部屋のレイアウトだ。南側に配置されたこの部屋は、日当たりが良く、庭に直接出られる大きな掃き出し窓を備えている。少女マンガ誌『りぼん』でさくらももこ氏が連載をスタートさせ、後に集英社から単行本として刊行された原作でも、二人が勉強机を並べて喧嘩したり語り合ったりする日常が印象的に描かれた。
建築的な視点から見ると、この子供部屋は家の中心である茶の間からも適度な距離が保たれており、プライバシーと家族の一体感が絶妙なバランスで成り立っている。子供たちが伸び伸びと育つための温かい光を取り込む設計は、当時の子育て世帯における理想像でもあった。