タモリさんといえば、長年にわたり日本のテレビ放送業を支えた国民的司会者である。特にフジテレビ系列で31年半にわたって放送された『笑っていいとも!』は、昼の生放送という逃げ場のない現場で、彼の即興性と揺るぎない安定感を証明し続けた。お笑い・バラエティの歴史において、毎日異なるゲストと台本を超えた会話を展開するスタイルは、赤塚さんのもとで培われた即興精神そのものだった。
告別式で見せた「原稿なしで8分間語り続ける」という圧巻の佇まいは、生放送の現場で長年磨き上げられた集中力と度胸の産物でもある。日常のバラエティ番組で見せる飄々とした姿の裏に、どれほど高度な表現力が秘められていたかを、あのスピーチは図らずも証明することとなった。