1990年代以降、JR東日本をはじめとする鉄道業界では、駅構内の案内表示機器や情報システムの急速なデジタル化が進んだ。ポケベルや携帯電話の普及によって掲示板の利用者は激減。メンテナンス費用や防犯上の観点も重なり、駅の改札付近から黒板やチョークは姿を消していった。
かつては待ち合わせの行き違いを防ぐインフラとして機能していたスペースも、現在では液晶モニターの運行情報表示器やデジタルサイネージへと置き換わっている。しかし、物言わぬ黒板にメッセージを残し、相手がそれを読み取るまで祈るように待つという情緒は、デジタル通知では代替できない独特の体験だった。