「高級住宅街と下町では、出されるゴミの質も量もまったく違う」。滝沢氏の観察眼は鋭い。富裕層が集まる地域では、意外にもモノを最後まで使い切る傾向が強く、段ボールの畳み方一つをとっても丁寧さが目立つという。一方で、衝動買いされたと推測される未使用の衣類や流行の健康器具が手つかずで捨てられているケースも少なくない。
ゴミ集積所は、住む人の生活態度や心の状態を映し出す鏡だ。丁寧に出されたゴミは作業員のケガを防ぎ、効率的な収集を可能にする。逆に、刃物が露出した状態の粗大ゴミや破裂の危険があるカセットボンベは、作業員の命を脅かす。現場の切実な訴えは、単なるマナー啓発を超えて、社会全体の思いやりの連鎖を呼びかけている。