タイパや倍速視聴が当たり前となった今、長尺で重厚な名作クラシック映画が脚光を浴びるのは一見すると逆行現象に見える。しかし、現実は真逆だ。短時間で消費されるインスタントなコンテンツに食傷気味の視聴者層が、圧倒的な熱量を持つクラシック作品に飢えている。
ファストコンテンツの氾濫。その反動として、行間を読ませる骨太なドラマへの回帰が起きている。テレビ放送業界全体が視聴率の獲得に苦心するなか、じっくりと腰を据えて鑑賞に耐えうる作品を届ける意義はむしろ高まっているのだ。
画面の隅々にまで張り巡らされた伏線、台詞に頼らない俳優の眼差し、徹底的に計算された光と影の演出。安易なカタルシスを与えない物語の強靭さこそが、目の肥えた現代の視聴者を惹きつけてやまない。